乳がんとは|検査や治療、ステージなど

乳がんとは

大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15~20個並んでいる。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管(くだ)でつながっている。乳がんの約90%はこの乳管から発生し、乳管がんと呼ばれる。また、小葉から発生する乳がんが約5~10%あり、小葉がんと呼ばれている。乳管がん、小葉がんは、乳がん組織を顕微鏡で検査(病理学的検査)すると区別できる。この他に特殊な型の乳がんがあるが、あまり多いものではない。

年齢別にみた女性の乳がんの罹患(りかん)率は30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎え、その後は次第に減少する。女性では、乳がんにかかる数は乳がんで死亡する人の数の3倍以上になる。これは、女性の乳がんの生存率が比較的高いことと関連している。男性の乳がんは、年間の死亡数で女性の乳がんの100分の1以下のまれながんであるが、女性の乳がんに比べて生存率が低い(予後が悪い)ことが知られている。

年代別罹患率(2007年女性)女性の乳がん死亡者数


年次推移は、罹患率、死亡率ともに一貫して増加しており、出生年代別では、最近生まれた人ほど罹患率、死亡率が高い傾向がある。

乳がんの発生・増殖には、性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしている。これまでに確立されたリスク要因の中には、体内のエストロゲン・レベルに影響を与えるようなものがほとんどである。実際に体内のエストロゲン・レベルが高いこと、また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法によって乳がんのリスクが高くなるという根拠は、十分とされている。

生理・生殖要因としては、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因とされている。また、体格では高身長、閉経後の肥満、が確立したリスク要因ですが、閉経前乳がんについては、逆に肥満者でリスクが低くなることが指摘されている。

飲酒習慣により、乳がんリスクが高くなることは確実、また、運動による乳がん予防効果はおそらく確実とされている。その他の食事・栄養素に関しては、脂質、野菜・果物、食物繊維、イソフラボンなどが注目されているものの、十分に根拠が揃っているものはまだない。

その他、一親等の乳がん家族歴、良性乳腺疾患の既往、マンモグラフィ上の高密度所見、電離放射線曝露も、乳がんの確立したリスク要因とされている。

乳がんの場合、がん細胞は比較的小さい時期から乳腺組織からこぼれ落ち、リンパや血液の流れに乗って乳腺から離れた臓器(肺、肝臓、骨など)に小さな転移巣をかたちづくると考えられている。これらの微小な転移巣が大きくなると症状が出たり、検査で検出されたりするようになり「遠隔転移」と呼ばれる。例えば、肺に転移した場合は「乳がんの肺転移」と呼び、肺にあってもその性質は乳がんであり、もともと肺から発生する「肺がん」とは異なる。このように遠隔転移を有する乳がんを総称して「転移性乳がん」と呼ぶ。乳房にがんが見つかった時点で、すでに遠隔転移を有する場合と区別して、手術などの初期治療を行ってから発見される場合を「再発乳がん」と呼ぶ。再発乳がんの中でも、手術をした部分だけに再発することを「局所再発」と呼ぶ。また、がんが皮膚や胸壁に及んでいるためそのままでは手術ができない乳がんは「局所進行乳がん」と呼ぶ。

遠隔転移のない手術が可能な乳がんの場合、全身にこぼれ落ちている可能性のある微小転移に対して全身治療、すなわち薬による治療を行うことによって、再発を予防することができます。このような薬の治療を「術後薬物療法」と呼ぶ。最近では薬の治療を手術に先行して行う場合もあり、これを「術前薬物療法」と呼ぶ。薬の治療は再発のリスクの大きさや年齢によって選択される。乳がんの再発リスクを予測する尺度にはしこりの大きさや、わきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)への転移の個数、ホルモン受容体の有無などがある。再発のリスクがある場合にはリスクや年齢に応じて放射線などの局所療法に加え、全身治療として薬物療法を行うことが推奨されている。

乳がん死亡者数

乳がんの症状

1)乳房のしこり
乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で注意深く触るとわかるしこりになる。しかし、しこりがあるからといってすべてが乳がんであるというわけではない。
2)乳房のえくぼなど皮膚の変化
乳がんが乳房の皮膚の近くに達すると、えくぼのようなくぼみができたり、皮膚が赤く腫れたりする。乳房のしこりが明らかではなく、乳房表面の皮膚がオレンジの皮のように赤くなり、痛みや熱感を伴う場合、「炎症性乳がん」と呼ぶ。炎症性乳がんがこのような外観を呈するのは、乳がん細胞が皮膚のリンパ管の中に詰まっているためであり、それだけ炎症性乳がんは全身的な転移をきたしやすい病態である。
3)乳房の近傍のリンパ節の腫れ
乳がんは乳房の近傍にあるリンパ節、すなわちわきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)、胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)や鎖骨の上下のリンパ節(鎖骨上リンパ節、鎖骨下リンパ節)に転移をきたしやすく、これらのリンパ節を「領域リンパ節」と呼ぶ。領域リンパ節が大きくなってくるとリンパ液の流れがせき止められて腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕のしびれをきたしたりすることがある。
4)遠隔転移の症状
転移した臓器によって症状は違いますし、症状が全くないこともある。領域リンパ節以外のリンパ節が腫れている場合は、遠隔リンパ節転移といい、他臓器への転移と同様に扱われる。腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、荷重がかかる部位にできた場合には骨折を起こす危険もある(病的骨折)。肺転移の場合は咳が出たり、息が苦しくなることがある。肝臓の転移は症状が出にくいが、肝臓が大きくなると腹部が張ったり、食欲がなくなることもあり、痛みや黄疸が出ることもある。

乳がんの検査と診断

乳がんが疑われるときには、下記に挙げる検査を行う。

レントゲン撮影(マンモグラフィー)

マンモグラフィーは乳房を装置に挟んで圧迫しX線撮影する検査である。触診では見つからないような小さながんが見つかることがある。定期検診として45~50歳以上の女性に対して、年1回のマンモグラフィー検査を実施している市町村もある。

乳腺のその他の画像検査

しこりががんであるかどうかや病変の広がりを診断するために、乳腺の超音波検査、MRI検査、CT検査なども有用である。

穿刺吸引細胞診と針生検

しこりが見つかった場合、しこりに細い注射針を刺して細胞を吸いとって調べる「穿刺吸引細胞診」により、80~90%の場合ではがんかどうかの診断が確定する。さらに多くの情報を得るために太い針を刺してしこりの一部の組織を採取することもある(針生検)。触診では明らかなしこりを触れず、画像検査だけで異常が指摘されるような場合には、マンモトーム生検と呼ばれる特殊な針生検を行うこともある。

遠隔転移の検査

乳がんが転移しやすい遠隔臓器として肺、肝臓、骨、リンパ節などがある。遠隔転移があるかどうかの診断のためには、胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨のアイソトープ検査(骨シンチグラフィ)などが行われる。

デンスブレスト(Dense breast)

デンスブレスト(Dense breast)とは、脂肪が少なく乳腺濃度の高い乳房(高濃度乳房)のことをいいます。現在、乳がん検診の主流はマンモグラフィーですが、マンモグラフィーにおいては、乳腺は白く造影されます。またがん細胞も同じく白く造影されることから、しばしばこの高濃度乳腺ががん細胞を覆い隠し、乳がんの早期発見を妨げることがあります。
乳房の脂肪含有率は、通常年齢により高くなりますが、閉経前で2/3、閉経後で1/4の女性が高濃度の乳房組織を有します。これは全女性の約30~40%程度で、またアジアにおいては約60~70%の女性がデンスブレストに分類されるといわれます。
加えて、デンスブレストの場合、がんの発見を困難にするだけでなく、がんその者のリスクを高めるとも言われています。
このため、マンモグラフィーによる乳がん検査を受診した際は、端的な腫瘍の有無だけでなく、自身の乳腺濃度を確認し、高濃度乳房に該当するか否かを知ることが肝要です。
また、デンスブレストの場合、マンモグラフィーでは小さい腫瘍の発見が困難となるため、マンモグラフィーにて乳腺濃度が高く、高濃度乳房とされた場合には、超音波検査(エコー検査)を併用することにより、見逃しを少なくすることが期待できます。

乳がんの病期(ステージ)

乳がんという診断がついた場合、がんが乳腺の中でどの程度広がっているか、遠隔臓器に転移しているかについての検査が行われる。乳がんの広がり、すなわち乳房のしこりの大きさ、乳腺の領域にあるリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって大きく5段階の臨床病期(ステージ)に分類され、この臨床病期に応じて治療法が変わってくる。

■0期
乳がんが発生した乳腺の中にとどまっているもので、極めて早期の乳がん。これを「非浸潤(ひしんじゅん)がん」という。
■I期
しこりの大きさが2cm(1円玉の大きさ)以下で、わきの下のリンパ節には転移していない、つまり乳房の外に広がっていないと思われる段階。
■II期
IIa期とIIb期に分けられる。
IIa期
しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がない場合。
IIb期
しこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がある場合。
■III期
「局所進行乳がん」と呼ばれ、IIIa、IIIb、IIIc期に分けられる。
IIIa期
しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、しかもリンパ節がお互いがっちりと癒着していたり周辺の組織に固定している状態、またはわきの下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節(内胸リンパ節)が腫れている場合。あるいはしこりの大きさが5cm以上でわきの下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合
IIIb期
しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が崩れたり皮膚がむくんでいるような状態。炎症性乳がんもこの病期に含まれる。
IIIc期
しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。あるいは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。
■IV期
遠隔臓器に転移している場合。乳がんの転移しやすい臓器は骨、肺、肝臓、脳など。

再発乳がん

乳房のしこりに対する初期治療を行った後、乳がんが再び出てくることを「再発」という。通常は他の臓器に出てくること(「転移」と呼ぶ)を指し、IV期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」と呼ぶ。手術をした乳房の領域に出てくることは「局所・領域再発」と呼んで区別している。

治療法

手術(外科療法)

<特徴>

がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。がんの治療法として最も基本的な治療法です。
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抗がん剤(化学療法)

<特徴>

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
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免疫細胞療法

<特徴>

身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強あるいは付加した上で体内に戻して行われる治療法です。上記の三大治療法に対して、近年注目されてきている、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。
がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹する
ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の選択肢の一つです。
免疫療法は副作用が少ないため、症状の緩和やQOLを高めることにつながります。

<対象となるがん>
かなり進行してしまっている方から比較的に早期に手術ができた後に再発を抑えることを目的とした方まで広く対象となります。血液がんを除く多くのがん種に適応できます。

<副作用>
もともと患者自身の細胞を利用するので、他の治療と比べると副作用が極めて少なく、身体への負担が軽い治療法と言えます。

<活性化リンパ球療法>
体内のリンパ球を活性化させ増やして、それを治療に使う方法で、免疫細胞療法の一つです。体内のリンパ球を一度体外へ出し、そこで活性化させてからふたたび体内へ戻します。がんの初期の段階から、再発予防を目的とした選択肢として期待の持てる治療法です。
活性化リンパ球療法の詳細についてはこちら
※白山通りクリニックのWEBサイトに移動します。

<併用療法>
活性化リンパ球療法を抗がん剤や放射線治療と組合せ行えば、増加しやすい細胞と増え難い細胞ともに治療のターゲットとなりますので、再発予防の際に効果的です。副作用を出来るだけ少なくできますので、QOLの維持・向上がしやすいです。
なお、抗がん剤や放射線治療と、活性化自己リンパ球療法を組合せて行う場合は、抗がん剤治療を受けているケースでは培養ができないわけではありませんが、抗がん剤治療を始める前に採血する方がより望ましいと考えられています。
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放射線療法

<特徴>

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。
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陽子線治療

<特徴>

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
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重粒子線治療

<特徴>

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。 進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、15〜30分の治療時間になります。
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再発予防

がんの再発予防のために行われる治療法としては薬物療法、術後補助療法、免疫療法という主に3つの術後補助療法があります。再発予防に当たってはできるだけ副作用がない方が良いと考えられておりますが、免疫療法の活性化自己リンパ球療法は副作用が非常に少ない治療法です。
再発予防についてはそれぞれの治療に特徴がありますので、積極的に情報を集め、主治医と相談して、治療法を選択することが大切です。
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治療実績

2013年に厚生労働省行った「DPC導入の影響評価に関する調査」に基いた治療実績の情報になります。
乳房の悪性腫瘍の治療実績についてはこちら

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