乳がんとは|検査や治療、ステージなど

乳がんとは

大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15~20個並んでいます。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管(くだ)でつながっています。乳がんの約90%はこの乳管から発生し、乳管がんと呼ばれる。また、小葉から発生する乳がんが約5~10%あり、小葉がんと呼ばれています。乳管がん、小葉がんは、乳がん組織を顕微鏡で検査(病理学的検査)すると区別できます。この他に特殊な型の乳がんがありますが、あまり多いものではないです。

年齢別にみた女性の乳がんの罹患(りかん)率は30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎え、その後は次第に減少します。女性では、乳がんにかかる数は乳がんで死亡する人の数の3倍以上になります。これは、女性の乳がんの生存率が比較的高いことと関連しています。男性の乳がんは、年間の死亡数で女性の乳がんの100分の1以下のまれながんであるが、女性の乳がんに比べて生存率が低い(予後が悪い)ことが知られています。

年代別罹患率(2007年女性)女性の乳がん死亡者数


年次推移は、罹患率、死亡率ともに一貫して増加しており、出生年代別では、最近生まれた人ほど罹患率、死亡率が高い傾向があります。

乳がんの発生・増殖には、性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしています。これまでに確立されたリスク要因の中には、体内のエストロゲン・レベルに影響を与えるようなものがほとんどです。実際に体内のエストロゲン・レベルが高いこと、また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法によって乳がんのリスクが高くなるという根拠は、十分とされています。

生理・生殖要因としては、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因とされています。また、体格では高身長、閉経後の肥満、が確立したリスク要因ですが、閉経前乳がんについては、逆に肥満者でリスクが低くなることが指摘されています。

飲酒習慣により、乳がんリスクが高くなることは確実、また、運動による乳がん予防効果はおそらく確実とされています。その他の食事・栄養素に関しては、脂質、野菜・果物、食物繊維、イソフラボンなどが注目されているものの、十分に根拠が揃っているものはまだないです。

その他、一親等の乳がん家族歴、良性乳腺疾患の既往、マンモグラフィ上の高密度所見、電離放射線曝露も、乳がんの確立したリスク要因とされています。

乳がんの場合、がん細胞は比較的小さい時期から乳腺組織からこぼれ落ち、リンパや血液の流れに乗って乳腺から離れた臓器(肺、肝臓、骨など)に小さな転移巣をかたちづくると考えられています。これらの微小な転移巣が大きくなると症状が出たり、検査で検出されたりするようになり「遠隔転移」と呼ばれます。例えば、肺に転移した場合は「乳がんの肺転移」と呼び、肺にあってもその性質は乳がんであり、もともと肺から発生する「肺がん」とは異なります。このように遠隔転移を有する乳がんを総称して「転移性乳がん」と呼びます。乳房にがんが見つかった時点で、すでに遠隔転移を有する場合と区別して、手術などの初期治療を行ってから発見される場合を「再発乳がん」と呼びます。再発乳がんの中でも、手術をした部分だけに再発することを「局所再発」と呼びます。また、がんが皮膚や胸壁に及んでいるためそのままでは手術ができない乳がんは「局所進行乳がん」と呼びます。

遠隔転移のない手術が可能な乳がんの場合、全身にこぼれ落ちている可能性のある微小転移に対して全身治療、すなわち薬による治療を行うことによって、再発を予防することができます。このような薬の治療を「術後薬物療法」と呼びます。最近では薬の治療を手術に先行して行う場合もあり、これを「術前薬物療法」と呼びます。薬の治療は再発のリスクの大きさや年齢によって選択されます。乳がんの再発リスクを予測する尺度にはしこりの大きさや、わきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)への転移の個数、ホルモン受容体の有無などがあります。再発のリスクがある場合にはリスクや年齢に応じて放射線などの局所療法に加え、全身治療として薬物療法を行うことが推奨されています。

乳がん死亡者数

乳がんの症状

1)乳房のしこり
乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で注意深く触るとわかるしこりになります。しかし、しこりがあるからといってすべてが乳がんであるというわけではないです。
2)乳房のえくぼなど皮膚の変化
乳がんが乳房の皮膚の近くに達すると、えくぼのようなくぼみができたり、皮膚が赤く腫れたりします。乳房のしこりが明らかではなく、乳房表面の皮膚がオレンジの皮のように赤くなり、痛みや熱感を伴う場合、「炎症性乳がん」と呼びます。炎症性乳がんがこのような外観を呈するのは、乳がん細胞が皮膚のリンパ管の中に詰まっているためであり、それだけ炎症性乳がんは全身的な転移をきたしやすい病態です。
3)乳房の近傍のリンパ節の腫れ
乳がんは乳房の近傍にあるリンパ節、すなわちわきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)、胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)や鎖骨の上下のリンパ節(鎖骨上リンパ節、鎖骨下リンパ節)に転移をきたしやすく、これらのリンパ節を「領域リンパ節」と呼びます。領域リンパ節が大きくなってくるとリンパ液の流れがせき止められて腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕のしびれをきたしたりすることがあります。
4)遠隔転移の症状
転移した臓器によって症状は違いますし、症状が全くないこともあります。領域リンパ節以外のリンパ節が腫れている場合は、遠隔リンパ節転移といい、他臓器への転移と同様に扱われます。腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、荷重がかかる部位にできた場合には骨折を起こす危険もあります(病的骨折)。肺転移の場合は咳が出たり、息が苦しくなることがあります。肝臓の転移は症状が出にくいが、肝臓が大きくなると腹部が張ったり、食欲がなくなることもあり、痛みや黄疸が出ることもあります。

乳がん検診

乳がん検診には、視触診(医師が直接、乳房を診て触れることで、しこりなどの異常をみつける)のほか、レントゲン撮影(マンモグラフィー)と超音波検査(エコー)があります。

視触診

乳房や腋の下に外見上の異常(「へこみ」や一部だけがふくらんでいるような変形)が無いか、「しこり」などの触れた状態での異常が無いかを調べます。

多くの検診で行われていますが、ごく早期の乳がんを発見するのは難しく、ある程度の大きさや固さがないと判断がつきません。

レントゲン撮影(マンモグラフィー)

マンモグラフィーは、乳房を透明の圧迫板で挟み、圧迫しながらX線撮影する検査です。触診では見つからないような小さながんが見つかることがあります。定期検診として45~50歳以上の女性に対して、年1回のマンモグラフィー検査を実施している市町村もあります。乳房を板で挟み込むため、痛みを伴うことがありますが、少ない放射線量で行うことのできる、比較的安全性の高い検査です。

マンモグラフィーでは、両乳房における乳がんの初期症状を捉えることができます。乳がんの初期症状にはいくつかありますが、このうち「石灰化」や「小さな腫瘍」などを見つけることができます。特に、早期乳がんの唯一のサインといわれている「ごく小さな石のような石灰化」を、X線フィルム上で鮮明に写し出せるという特徴があります。また、マンモグラフィーは、左右を比較してみることや、過去の画像と比較することができ、乳房組織の微妙な変化をとらえることができます。

ただし、マンモグラフィーは被ばく量が少ないとはいえ、放射線への被ばくは避けられません。妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は、放射線感受性が非常に高い胎児への影響を考慮し、検査方法を変更する場合があります。妊娠中ではない、あるいは妊娠の可能性が無い方がマンモグラフィーを受ける場合には、健康上の心配はありません。

また、若年の方、授乳中の方など、乳腺濃度が濃い状態にある方や、乳房への手術歴がある方などは、マンモグラフィー検査では異常が見つけにくい場合があります。わずか(10%程度)ですが、石灰化した組織が見落とされる可能性があります。

超音波検査

乳房に直接、プローブと呼ばれる器械を当てて、超音波が跳ね返ってくる様子を画像化し、乳房の状態を調べる検査です。超音波検査は、しこりをつくらない、いわゆる「おとなしい早期の乳がん」の発見にも有用です。人間ドックなどの健康診査において、乳がん検診が対象外となっている20代、30代の若年者に施行されており、放射線の被ばくを避けたい妊娠中の方、マンモグラフィーのような乳房の圧迫に耐えられない方、強い乳腺症などでマンモグラフィーでは良好な画像を得にくい方、頻繁に検査をする必要のある方などに適しています。

しかし、閉経前の女性では、正常な乳組織の中にある乳がんを見つけにくい場合があります。また、超音波検査は、検査を行う側の経験により、信頼度に差が出ることもあります。

マンモグラフィーと超音波検査は、どちらも比較的短時間で受けることができ、体への侵襲が少ない検査ですが、それぞれに得意な分野、不得意な分野があります。

マンモグラフィー超音波検査
検査による苦痛乳房を板で挟むことによる「痛み」がある痛みは特にない
放射線被ばくわずかながら有りなし
向いている年齢層20代~30代の若年層
(乳腺が豊富なため)
50代以上の高齢層
(脂肪が豊富なため)
40代~50代は、どちらの検査も有効度は同等
見つけやすい異常石灰化した組織小さな腫瘤
術者の経験「静止画」をみるので関係性は低い「動画」でみるため、術者の経験により信頼度が変わる

マンモグラフィーと超音波検査、どちらを受けるべき?

本人が希望をすれば、基本的にはどちらの検査でも受けることはできます。ただし、それぞれの検査にはメリットとデメリットがあることから、年代別に推奨される検査が決まっています。

まずは、それぞれの検査のメリットとデメリットをみてみましょう。

【マンモグラフィー検査】

メリット
● 手で触れることができないような小さなしこりを発見できる
● 以前に撮ったレントゲン写真との比較が、容易にできる

デメリット
● 少ないとはいえ、被曝の心配(飛行機で日本からアメリカ間を移動した程度)がある
● 若い女性の場合、がん(しこりや石灰化)と乳腺の区別がつきにくい
● 妊娠中・授乳中の女性は検査を受けることができない

【超音波検査】

メリット
● 被曝の心配がない
● 乳腺が発達している若い女性でも、しこりを見つけることができる
● リアルタイムで検査結果が分かる

デメリット
● 石灰化が分かりにくい
● 全体像を画像として残しておくことが難しい(前回との比較が難しい)
● 超音波画像を見ながら判断するため、検査を行う医師や技師の「技量」に依存してしまう

これらのメリット、デメリットを加味すると、各年代で推奨される検査方法が変わってきます。また、親子や姉妹などに「乳がんになったことがある」人が居る場合は、マンモグラフィーと超音波検査を両方受けることが推奨されます。

20歳代近親者に乳がんの方がいない場合は、必要ありません第一度近親者(親子、姉妹)に
乳がんの方がいる場合など

マンモグラフィ(毎年)

超音波検診(毎年)
30歳代近親者に乳がんの方がいない場合は、ご自分の判断で受けて下さい
40歳代マンモグラフィのみ(2年に1度)
または、マンモグラフィ(2年に1度)+ 超音波検診(毎年)
50歳以上マンモグラフィのみ(2年に1度)

マンモグラフィーは優れた検査ですが、検診のたびに被ばくすることになります。また20歳代、30歳代の乳腺が豊富な方の場合、思うような結果が出ないことがあります。こういった理由から、乳がんになるリスクが低いと思われる方であれば、毎年の検診として受ける必要はないとされています。ただし、自分で乳房や腋の下のしこりに気づいた、あるいは第一度近親者に「乳がんだった」方がいるなど乳がんになるリスクが高いと思われる場合は、マンモグラフィーと超音波検査の両方を受けることdが推奨されています。

乳がん検診の費用

これは、加入している健康保険によって変わります。

国民健康保険に加入している場合

国民健康保険に加入している場合、自治体が行う「住民検診」で、乳がん検診を受けることができます。住民検診での受診ができるのは、その自治体に住んでいる40歳以上の女性です。

厚生労働省は2006年度に、「40歳以上の女性に対し、2年に1度、視触診及びマンモグラフィーを併用した検診を行うこと」という指針を通知しました。これにより、現在ではほとんどの自治体が、2年に1度の乳がん検診受診を推奨しています。自治体によってはもう少し期間を空けて「節目検診」として行うところもあるようです。

40歳以上の女性が対象の場合、基本的には「マンモグラフィー」を行いますが、本人の希望により、超音波検査あるいは視触診を追加できる自治体もあります。ただし、視触診のみで乳がん検診を受けることはできません。また、自治体によっては、30歳代でも乳がん検診を受診できるところがあります。例えば近親者に乳がんの方がいるなどの「ハイリスク」な方であれば、20歳代からの受診も可能ですが、詳しいことはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

検診の費用としては、通常の住民検診に追加して行う場合でも「無料」となるところがありますが、一般的には1,000円~2,000円の範囲の自己負担で受けることができるようです。

健康組合の健康保険に加入している場合

分かりやすくいえば、会社が加入している健康保険です。年に一度、「職場検診」として、健康保険加入者本人、あるいは加入者家族(被扶養者)が、健康診断を受けることが出来ます。この時に、オプションとして乳がん検診を追加することができます。

一般的には、マンモグラフィーか超音波検査のどちらかを選択できますが、年齢や乳がんに対するリスクなどを考慮して選択しましょう。

検診の費用としては、無料から1,000円程度となることが多いようです。

乳がんの検査

乳がんが疑われるときには、下記に挙げる検査を行います。

レントゲン撮影(マンモグラフィー)

マンモグラフィーは乳房を装置に挟んで圧迫しX線撮影する検査です。触診では見つからないような小さながんが見つかることがある。定期検診として45~50歳以上の女性に対して、年1回のマンモグラフィー検査を実施している市町村もあります。

乳腺のその他の画像検査

検診でなんらかの異常がみつかった場合、あるいはマンモグラフィーや超音波検査では判断できない場合は、さらに詳しい検査をすることがあります。乳房内のしこりががんであるかどうかを判断したり、、病変の広がりを診断するために、MRI検査、CT検査などがあります。

【MRI検査】

MRI検査とは、強力な磁石でできたトンネルの中に、仰向けに寝た状態で入り、体の中の水分から出る磁力を画像としてあらわす検査です。放射線を使用しないため、被ばくの心配はありませんが、検査時間が長いこと(撮影する部位によっては20分前後)と、大きな音がするという特徴があります。

乳がんは、遺伝的要素が高いことや、若年層での発症があることから、「乳がんになりやすい=ハイリスクな方」がいます。乳がんのMRI検査は、主にハイリスク群に対して行われることが多い検査です。MRI検査では、マンモグラフィーや超音波検査では見つけにくいタイプの乳がんを見つけることができますが、検査そのものが簡便ではないこと、発見頻度が低い対象群(住民健診や職場の健康診断など)に対する費用面などで、すべての人が対象となるわけではありません。

MRI検査の対象となるのは、例えば、同一家系(第2度近親者)内に 2 人以上の乳がん患者さんが存在し、かつ、そのうち一人が、
(1)若年(40 歳未満)で乳がんを発症
(2)両側乳がん
(3)乳がんと卵巣がんの両方を発症
(4)男性乳がん
(5)乳がん、卵巣がんそれぞれが一人以上
  など、遺伝的なリスクが高いケースであることが多いです。

乳房のMRI検査は、月経周期とも関連し、おおよそですが月経開始後5日~12日の間が、もっとも適しているといわれています。この時期を過ぎると、乳腺組織による造影剤(MRI検査で必要となる)の取り込みが亢進してしまい、疑陽性(ぎようせい=陽性と陰性との判断がつかないこと)となってしまうことがあります。

また、人ひとりが入れるくらいの大きさの、強力な磁力を発生させるトンネルに入るため、閉所恐怖症の人や、体内に金属がある方(過去の手術などで金属のプレートやネジ、ワイヤーなどを挿入している方)、刺青やアートメイクを施している方などは、基本的に検査ができません。

【CT検査】

CT検査は、X線を利用して身体の内部(断面)を画像化する検査で、マンモグラフィーと同様、わずかではありますが放射線被ばくがあります。CT検査では、体の断面図を5㎜程度の間隔で画像化し、乳がんの大きさ広がりなどを調べます。例えば、乳がんであることが確定し、手術前に切除範囲を決定する場合などは、CT検査が有効であるとされています。乳がんが小さい、乳腺組織との境目が分かりにくい場合などは、造影剤を用いたCT検査を行うことがあります。

ただし、CT検査もMRI検査と同様、すべての方が対象となるわけではありません。マンモグラフィーや超音波検査と比較すると、大掛かりな検査になることから費用も高額となり、放射線被ばくもわずかながらあります。また、ごく早期の小さな乳がんを見つけることは、あまり得意ではないとされています。

MRI検査が適さないような、閉所恐怖症の方、体内に金属がある方、刺青やアートメイクを施している方などが、対象となることが多いようです。

穿刺吸引細胞診と針生検

しこりが見つかった場合、しこりに細い注射針を刺して細胞を吸いとって調べる「穿刺吸引細胞診」により、80~90%の場合ではがんかどうかの診断が確定するといわれています。さらに多くの情報を得るために、太い針を刺してしこりの一部の組織を採取することもあります(針生検)。触診では明らかなしこりに触れず、画像検査だけで異常が指摘されるような場合には、マンモトーム生検と呼ばれる特殊な針生検を行うこともあります。

遠隔転移の検査

乳がんが転移しやすい遠隔臓器として肺、肝臓、骨、リンパ節などがある。遠隔転移があるかどうかの診断のためには、胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨のアイソトープ検査(骨シンチグラフィ)などが行われる。

デンスブレスト(Dense breast)

デンスブレスト(Dense breast)とは、脂肪が少なく乳腺濃度の高い乳房(高濃度乳房)のことをいいます。現在、乳がん検診の主流はマンモグラフィーですが、マンモグラフィーにおいては、乳腺は白く映し出されます。同様に、がん細胞もく白く映ることから、しばしばこの高濃度乳腺ががん細胞を覆い隠し、乳がんの早期発見を妨げることがあります。

 乳房の脂肪含有率は通常、年齢により高くなりますが、閉経前で2/3、閉経後で1/4の女性が、高濃度の乳房組織であることがわかっています。これは全女性の約30~40%程度ですが、日本を含むアジア地域においては、約60~70%の女性がデンスブレストに分類されるといわれています。加えて、デンスブレストの場合、がんの発見を困難にするだけでなく、がんそのもののリスクを高めるとも言われています。

 このため、マンモグラフィーによる乳がん検査を受診した際は、端的な腫瘍の有無だけでなく、自身の乳腺濃度を確認し、高濃度乳房に該当するか否かを知っておくことが必要です。

 デンスブレストの場合、マンモグラフィーでは小さい腫瘍の発見が困難となるため、マンモグラフィーにて乳腺濃度が高く、高濃度乳房と診断された場合には、超音波検査(エコー検査)を併用することにより、見逃しを少なくすることが期待できます。

乳がんの病期(ステージ)

乳がんという診断がついた場合、がんが乳腺の中でどの程度広がっているか、遠隔臓器に転移しているかについての検査が行われます。乳がんの広がり、すなわち乳房のしこりの大きさ、乳腺の領域にあるリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって大きく5段階の臨床病期(ステージ)に分類され、この臨床病期に応じて治療法が変わってきます。

■0期
乳がんが発生した乳腺の中にとどまっているもので、極めて早期の乳がん。これを「非浸潤(ひしんじゅん)がん」といいます。
■I期
しこりの大きさが2cm(1円玉の大きさ)以下で、わきの下のリンパ節には転移していない、つまり乳房の外に広がっていないと思われる段階。
■II期
IIa期とIIb期に分けられます。
IIa期
しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がない場合。
IIb期
しこりの大きさが2~5cmでわきの下のリンパ節への転移がある場合。
■III期
「局所進行乳がん」と呼ばれ、IIIa、IIIb、IIIc期に分けられます。
IIIa期
しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節に転移があり、しかもリンパ節がお互いがっちりと癒着していたり周辺の組織に固定している状態、またはわきの下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節(内胸リンパ節)が腫れている場合。あるいはしこりの大きさが5cm以上でわきの下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合
IIIb期
しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が崩れたり皮膚がむくんでいるような状態。炎症性乳がんもこの病期に含まれます。
IIIc期
しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。あるいは鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。
■IV期
遠隔臓器に転移している場合。乳がんの転移しやすい臓器は骨、肺、肝臓、脳など。

再発乳がん

乳房のしこりに対する初期治療を行った後、乳がんが再び出てくることを「再発」といいます。通常は他の臓器に出てくること(「転移」と呼ぶ)を指し、IV期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」と呼びます。手術をした乳房の領域に出てくることは「局所・領域再発」と呼んで区別しています。

治療法

手術(外科療法)

<特徴>

がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。がんの治療法として最も基本的な治療法です。
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抗がん剤(化学療法)

<特徴>

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
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免疫細胞療法

<特徴>

身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強あるいは付加した上で体内に戻して行われる治療法です。上記の三大治療法に対して、近年注目されてきている、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。
がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹する
ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の選択肢の一つです。
免疫療法は副作用が少ないため、症状の緩和やQOLを高めることにつながります。

<対象となるがん>
かなり進行してしまっている方から比較的に早期に手術ができた後に再発を抑えることを目的とした方まで広く対象となります。血液がんを除く多くのがん種に適応できます。

<副作用>
もともと患者自身の細胞を利用するので、他の治療と比べると副作用が極めて少なく、身体への負担が軽い治療法と言えます。

<活性化リンパ球療法>
体内のリンパ球を活性化させ増やして、それを治療に使う方法で、免疫細胞療法の一つです。体内のリンパ球を一度体外へ出し、そこで活性化させてからふたたび体内へ戻します。がんの初期の段階から、再発予防を目的とした選択肢として期待の持てる治療法です。
活性化リンパ球療法の詳細についてはこちら
※白山通りクリニックのWEBサイトに移動します。

<併用療法>
活性化リンパ球療法を抗がん剤や放射線治療と組合せ行えば、増加しやすい細胞と増え難い細胞ともに治療のターゲットとなりますので、再発予防の際に効果的です。副作用を出来るだけ少なくできますので、QOLの維持・向上がしやすいです。
なお、抗がん剤や放射線治療と、活性化自己リンパ球療法を組合せて行う場合は、抗がん剤治療を受けているケースでは培養ができないわけではありませんが、抗がん剤治療を始める前に採血する方がより望ましいと考えられています。
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放射線療法

<特徴>

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。
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陽子線治療

<特徴>

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
陽子線治療についてはこちら

重粒子線治療

<特徴>

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。 進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、15?30分の治療時間になります。
重粒子線治療についてはこちら

治療実績

2013年に厚生労働省行った「DPC導入の影響評価に関する調査」に基いた治療実績の情報になります。
乳房の悪性腫瘍の治療実績についてはこちら

費用

乳がんの治療は必要とされる検査や、医療機関の設備などによって大きく異なります。ここでは、おおよその治療費用の目安をご紹介します。

<入院、手術をした場合>
手術は乳房の温存の有無やリンパ節郭清の有無、乳房再建の有無によって値段が大きく異なります。

まず、乳房及びリンパ節を温存している場合です。この場合、手術としては乳がんとその周りの組織を切除することになり、入院は1週間ほどです。手術の規模としては、その他の術式よりも小規模となりますが、費用は約75万円かかります。このうちの2~3割が自己負担額です。

次に乳房切除、リンパ節を郭清した場合、片方の乳房全体を切除し、腋の下などのリンパ節も併せて切除します。手術の規模としては比較的大きなものとなり、入院期間は2週間ほど必要です。費用は、約100万円になりますが、保険適応によりこのうちの2~3割の額が自己負担額となります。

乳房再建を行う場合、一度乳房すべてを切除する手術を行い、同時に乳房再建を行う場合と、一定期間を経てから乳房再建を行う場合があります。いずれの場合でも、乳房を切除する費用として約100万円かかり、さらに乳房再建術の費用として、10万~60万円程度の費用がかかります(再建方法や医療機関によって異なる)。乳房再建術も、2013年ころから保険適応となりましたので、実際にはこのうちの2~3割が自己負担額になります。

この他、放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン治療などが必要となることがあります。放射線療法は照射商社回数によって値段が異なりますが、だいたい1回5000円から8000円程度となります。ただし、初回の場合は管理費が含まれるため1万円から1万5千円ほどとなります。こちらもおなじく保険適応によって支払いは2~3割の負担です。

化学療法も使うお薬や回数によって異なります。相場が47~53万円となり、最も安いと13万円くらいのケースがあります。こちらも保険適応によって、自己負担額は2~3割負担です。

ホルモン療法の場合、閉経前と閉経後で薬が異なり、またジェネリックを使用するかによっても異なります。抗エストロゲン薬が約12~18万円、LH―RHアゴニスト製剤が約29万円~49万円となります。抗エストロゲン薬は内服薬で、LH-RHアゴニスト薬が皮下注射であることから、薬剤の費用や医療者による技術料などを加味し、治療費に差がみられるようです。

再発予防

がんの再発予防のために行われる治療法としては薬物療法、術後補助療法、免疫療法という主に3つの術後補助療法があります。再発予防に当たってはできるだけ副作用がない方が良いと考えられておりますが、免疫療法の活性化自己リンパ球療法は副作用が非常に少ない治療法です。

再発予防についてはそれぞれの治療に特徴がありますので、積極的に情報を集め、主治医と相談して、治療法を選択することが大切です。
再発予防についてはこちら

参考文献

認定NPO法人 J.POSH http://www.j-posh.com/checkup/type/
認定NPO法人 乳房健康研究会 https://breastcare.jp/breast_about.html
日本乳癌検診学会 乳がん発症ハイリスクグループに対する乳房MRIスクリーニングに 関するガイドライン ver.1.2 http://www.jabcs.jp/images/mri_guideline_fix.pdf
日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン http://jbcs.gr.jp/guidline/guideline/g5/g51760/
日本乳癌学会 http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q16/

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