肺がんとは|検査や治療、ステージなど

肺がんとは

肺は、呼吸することにより、肺に吸い込まれた空気がガス交換をする臓器である。口や鼻から吸った空気は気管、さらに気管支を通って肺に入る。さらに気管支が分岐を繰り返して肺胞という小さな袋で、血液中の二酸化炭素と空気中の酸素を交換している。肺がんは肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがん化したものである。肺がんは進行するにつれてまわりの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって広がっていく。

肺がんは、喫煙との関係が非常に深いがんであるが、タバコを吸わない人でも発症することがある。周囲に流れるタバコの煙を吸う受動喫煙により発症リスクが高まることもわかっている。近年、肺がんは日本人のがんによる死亡原因のトップとなったが、まだ増加する傾向がみられる。

肺がんの一般的な症状としては、なかなか治りにくい咳、血痰、胸痛、呼吸時のぜーぜー音(喘鳴)、息切れ、声のかれ(嗄声)、軽度の発熱、顔や首のむくみなどがあるが、必ずしも肺がんに特有のものではない。また、肺がんは進行の程度にかかわらずこうした症状がほとんどない場合もある。肺がんは症状がなくても検診によって早期発見することができる。

肺がんは病変から採取した組織を顕微鏡で調べる検査(病理検査)の結果によって、主に腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞癌に分類される。治療にあたっては、経過や治療方法、治療効果の違いから、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2種類に分けられる。

非小細胞がんは肺がんの約85%を占め、がんの発生しやすい場所、進行のしかたとその速さ、症状などはその種類によって異なる。

小細胞肺がんは肺がんの約15%を占め、がん細胞の増殖のスピードが速く、転移(肺から離れたリンパ節、脳、肝臓、骨などにがん細胞が移動し、そこで増殖すること)しやすいがんである。そのため、発見時にすでに転移していることがしばしばみられる。


肺がんの検査と診断

肺がんが疑われるときには、胸のX線検査や喀痰細胞診、血液検査、胸部CT、腫瘍マーカー検査、気管支鏡検査などを行う。必要に応じて胸水の検査、経皮的肺穿刺・生検、脳のMRI、腹部のCTや超音波(エコー)検査、骨シンチグラフィー、PETなどを行うこともある。

胸部X線検査

X線で肺にがんを示す影がないか調べる検査。

喀痰細胞診

がんからはがれ落ちて痰に混じって出てきたがん細胞を検出する検査。実際にがんがあっても、この検査でがんが発見できない場合もある。

胸部CT検査

CTは、X線を使って体の内部(横断面)を描き出す。がんの大きさ、性質、周囲の臓器への広がりなど、X線検査よりはるかに多くの情報が得られ、肺がん診断には必須の検査である。治療の効果判定や経過観察でも行われる。造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがある。ヨードアレルギーの経験のある人は医師に申し出る必要がある。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、がんが作り出す特殊な物質のうち、主として血液中で測定できるもので、がんの性質や広がりの目安を示すものとして使われる。肺がんの腫瘍マーカーとしては、CEA、SCC、proGRP、NSE、Cyfra21-1などがあるが、この検査だけでがんの有無を確定できるものではない。また、がんがあっても腫瘍マーカーが異常を示さないことも少なくない。

気管支鏡検査

特殊な内視鏡で気管・気管支の中やその周辺を観察する。がんが疑われる病変が気管支の末梢にあると内視鏡が届かない場合もある。がんが疑われる場所の組織や細胞の一部を採って、がん細胞の有無やがんの種類を顕微鏡で調べる病理検査をすることも目的の1つとなる。

胸水の検査

胸に水がたまっている場合には、胸水穿刺細胞診(肺の外にたまった水を抜いてがん細胞の有無を調べる)などの検査も行う。

経皮的肺穿刺・生検

喀痰細胞診や気管支鏡検査による病理検査でも診断ができない場合などに、X線や超音波、あるいはCTで確認しながら皮膚の上から細い針を肺に刺して、組織を採って病理検査を行う方法。

胸腔鏡検査・縦隔鏡検査・開胸肺生検

がんが疑われる病変から組織の一部を採る検査として、他には以下の方法がある。
これらはいずれも全身麻酔が必要な検査である。

胸腔鏡検査・生検

胸の皮膚を小さく切開し、そこから肋骨の間を通して胸腔鏡と呼ばれる内視鏡を肺の外側(胸腔)に挿入し、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部の組織を採取する。

縦隔鏡検査・生検

胸骨の上のくぼみの皮膚を切開し、気管のまわりの組織を押しのけて空間をつくり、ここに縦隔鏡と呼ばれる筒状の器具を挿入し、リンパ節や近くの組織を採取する。

開胸肺検査

手術で胸を開き(開胸)、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部の組織を採取する。

その他の検査  がんの広がりを調べるため、以下の検査を行うことがある

手術で胸を開き(開胸)、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部の組織を採取する。

・脳のMRI検査
磁気を利用し、脳の断層撮影をする
・腹部CTおよび超音波(エコー)検査
腹部のCT検査を行う。また超音波(エコー)検査で腹部への転移の有無を検索する。
・骨シンチグラフィー
骨への転移を調べるアイソトープを用いた検査。放射線物質を静脈に注射して、その取り込みの分布を調べる。
・PET
放射性ブドウ糖液を注射し、その取り込みの分布を撮影することで、全身のがん細胞を検出する検査。

肺がんの病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいう。説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることも多い。病期には、ローマ数字が使われ、肺がんでは、Ⅰ期(ⅠA、ⅠB)、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB)、Ⅳ期に分類されている。肺がんでは、がんの大きさ、がんがどこまで広がっているか、リンパ節または肺の中の他の場所や脳や肝臓、副腎、骨などへの転移があるかどうかによって病期が決められている。

病期によって治療方法の選択肢が決まっており、病期は治療前の検査によって決まるが、手術のときに転移などが見つかれば変更されることもある。

次に「非小細胞肺がんの病期」と、「小細胞肺がんの病期」を示す。

小細胞肺がんでは、非小細胞肺がんで用いられるⅠ~Ⅳ期による分類の他に、がんの広がりと治療方針の違いで大きく2つに分ける分類が用いられる。

~表が入る~

小細胞がんの病期

  • 限局型 …がんが原発巣のある側の胸郭内にとどまる
  • 進展型 …がんが胸郭の外に広がり、他の臓器にも転移(遠隔転移)が認められる
  • 胸郭:鳥かごのような肋骨に囲まれた部分で、肺や気管、心臓、食道、リンパ節などの縦隔臓器がある

治療法

手術(外科療法)

<特徴>

がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。がんの治療法として最も基本的な治療法です。
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抗がん剤(化学療法)

<特徴>

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
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免疫細胞療法

<特徴>

身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強あるいは付加した上で体内に戻して行われる治療法です。上記の三大治療法に対して、近年注目されてきている、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。
がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹する
ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の選択肢の一つです。
免疫療法は副作用が少ないため、症状の緩和やQOLを高めることにつながります。
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放射線療法

<特徴>

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。
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陽子線治療

<特徴>

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
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重粒子線治療

<特徴>

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。 進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、15〜30分の治療時間になります。
重粒子線治療についてはこちら

治療実績

2013年に厚生労働省行った「DPC導入の影響評価に関する調査」に基いた治療実績の情報になります。
肺の悪性腫瘍の治療実績についてはこちら

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