すい臓がん (がんの種類)

すい臓がんの治療法

すい臓がんの根治には、手術療法が必要であるため、「手術できるかどうか」の判断はきわめて重要です。もしもセカンドオピニオンを必要とするならば、大きなポイントとなります。手術を行う場合でも、手術と薬物療法を組み合わせて治療を行うことが一般的です。手術ができないと判断された場合は、放射線治療や薬物療法を行います。

手術(外科療法)

<特徴>
がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。すい臓がんの治療法として最も基本的な治療法です。
手術ができるかどうかは、さまざまな検査所見を総合的に判断し、「切除可能性分類」に従って、大きく3つに分類されます。

● 「切除可能」
● 「切除可能境界」
● 「切除不能」

「切除可能境界」とは、遠隔の臓器への転移はないものの、がんが「主要な血管に広がっている」場合です。すい臓や近隣臓器である肝臓などを栄養する動脈系(上腸間膜動脈、腹腔動脈、総肝動脈)まで広がっているか、門脈系への浸潤にとどまっているかによって、さらに細かく分けられます。

【手術の種類】
すい臓がんの手術は、がんの位置や広がりなどにより、以下のような術式が選択されます。それぞれの種類で、手術後に見られる合併症も違います。一般的には、膵頭部を切除する方が、消化管再建(胃や腸をつなぎ合わせる)の部分が多くなるため、手術時間が長くなり、回復にも時間がかかります。がんの位置によっては、腸の動きを調整する神経を切除してしまうため、手術後に下痢をしやすくなります。

(1)膵頭十二指腸切除術
膵頭部にがんがある場合、膵頭部、十二指腸、胆管、胆のうまでをまとめて切除します。また、がんが胃の近くまで広がっている場合は胃の一部、血管までがんが広がっている疑いがある場合は血管の一部も切除します。切除後は、残ったすい臓と、すい臓からの膵管を小腸につなぎ、膵液が小腸に流れるようにします。さらに切除した部位により、消化管再建(胆管と小腸、胃と小腸などをつなぎ合わる)を行います。

膵頭十二指腸切除術の合併症としては、つなぎ合わせた部分から膵液や胆汁がもれてしまい、感染や腹膜炎、出血が起こることがあります。また、胆管と腸をつなぎ合わせた箇所から、逆流による胆管炎が起こり、高熱が出ることがあります。

(2)膵体尾部切除術
膵体尾部にがんがある場合、膵臓の体部と尾部、脾臓(ひぞう)までをまとめて摘出しますが、胃や腸などの消化管は切除しませんので、切除後の消化管再建は不要です。

(3)膵全摘術
がんが膵臓全体に及ぶ場合は、膵臓をすべて摘出します。ただし、膵臓の機能が失われてしまうため、切除による根治が期待できない場合は、行われない手術です。

膵全摘術による合併症としては、血糖コントロール不良(糖尿病の発症、悪化)や、消化吸収の障害が起こります。脂肪肝を発症する人もいます。血糖コントロールに対しては、インスリン投与などが必要となります。消化吸収の障害、脂肪肝に対しては、消化剤の服用などで対処します。

(4)バイパス手術
手術によりがんが切除できないと判断された場合でも、膵臓と十二指腸の接合部分ががんで塞がってしまった場合、胃と小腸をつなぐバイパス手術を行うことがあります。これにより、少しではありますが食事が可能となることが期待されます。

また、胆管ががんで塞がって黄疸(おうだん)が出ている場合には、胆管と小腸をつなぐバイパス手術(胆管空腸吻合バイパス術)を行うことがあります。
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抗がん剤(化学療法)

<特徴>

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
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免疫細胞療法

<特徴>

身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強あるいは付加した上で体内に戻して行われる治療法です。上記の三大治療法に対して、近年注目されてきている、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。
がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹する
ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の選択肢の一つです。
免疫療法は副作用が少ないため、症状の緩和やQOLを高めることにつながります。
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放射線療法

<特徴>

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。
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陽子線治療

<特徴>

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
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重粒子線治療

<特徴>

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。
進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、15〜30分の治療時間になります。
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